今後の研究の推進方策 |
ChiX, chiP 5’UTR, chiR 5’UTRの安定性及び結合機構:大腸菌やサルモネラのChiXはchbオペロンmRNAの遺伝子間領域に結合することで不安定化が生じ分解されるが、S. marcescensのChiXにはそのような機構は存在しないため、S. marcescens ChiXによるchiP及びchiRの制御機構には新たなメカニズムが関与していると考えられる。すでにchiP mRNAの5’UTR領域がその下流領域よりも安定であることを見出しており、この安定化がChiX捕捉によるものかどうかをノーザンブロットやRT-PCRで調べる。 ChiXのターゲットの切替えとHfqの関与:ChiXとchiP 5’UTRの発現によりChiXのターゲットはchiRからchiPへ移行する。これにはRNAシャペロンであるHfqが重要な役割を果たしていると考えられる。hfq破壊株構築が困難であることから、Hfqが関与すると考えられるchiRとchiP 5’UTRへの変異導入実験を進める。 nagE破壊株におけるキチナーゼ発現との関係:GlcNAcのPTSをコードするnagE遺伝子の破壊株を、GlcNAcを炭素源として培養するとキチナーゼが生産される。この条件下でのchiP, chiR, chiX等の遺伝子発現及びキチナーゼやキトビアーゼの生産を調べる。 ChiRが結合する塩基配列と直接制御する遺伝子の探索:ChIPアッセイ等によってChiRのターゲットを探索する。 結晶性キチン分解産物の影響:結晶性キチンや水溶性キチン、キチンオリゴ糖などを炭素源として培養し、キチナーゼ遺伝子の発現と菌体外への分泌の関連性を調べる。
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