研究課題
磁性細菌は、マグネトソームとよばれるオルガネラにより地磁気を感知する。マグネトソームは、細胞内に直鎖上に配置されることで、細胞中央に棒磁石のような構造を形成し、磁気センサーとして機能する。本研究では、アクチン様蛋白質であるMamKによって構成される細胞骨格によるマグネトソームの配置機構を解明する。前年度までの研究では、生細胞蛍光イメージングにより、MamK細胞骨格は、マグネトソームを細胞中央に直鎖状につなぎとめ、拡散によるマグネトソームの分散を防ぎ、安定に固定された磁気センサーとして機能させていることを明らかにした。本年度は、このMamKの機能が、異なる分類群の磁性細菌で保存されているかを調べた。M. magneticum AMB-1のmamK欠損株に、アルファー、ガンマ及びデルタプロテオバクテリアの分類される5種の形態的、生理的に異なる磁性細菌のMamK蛋白質を発現させ、AMB-1のマグネトソームが固定できるかを検証した。その結果、すべての磁性細菌のMamKがマグネトソームを直鎖状に固定できたことから、MamKの機能が磁性細菌で保存されていることが明らかになった(論文発表準備中)。この結果は、MamKに保存的なアミノ酸残基が、マグネトソーム固定に重要な役割を果たすことを示唆している。一方、MamJ蛋白質は細胞内でMamK細胞骨格と相互作用すると考えられおり、マグネトソーム配置の分子機構を調べる上で重要な蛋白質である。本研究では、MamJ蛋白質の精製に成功し、in vitroでMamKとMamJ蛋白質の相互作用を確認した。蛍光標識したMamK蛋白質を用いて、蛍光顕微鏡下でMamK繊維重合を観察する実験系を確立し、これにMamJを添加し、MamK重合におけるMamJの機能を検証した(論文投稿準備中)。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://pronet.w3.kanazawa-u.ac.jp/J/index.html