研究課題/領域番号 |
16K07664
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒田 浩一 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30432339)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 応用微生物 / 発現制御 / シグナル伝達 / プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
Clostridium cellulovoransは菌体外に「セルロソーム」と呼ばれる酵素超複合体を生産し、バイオマス中の多糖類を高効率に分解することのできる有用微生物である。申請者はこれまでの研究により、本微生物が炭素源の種類となる多糖類の種類に応じて酵素群の発現を最適化させていることを明らかにしてきた。本研究ではC. cellulovoransにおいて、どのようなタンパク質がどのように多糖類を認識して酵素群の発現制御を行っているか、といった一連の情報伝達・転写制御機構の全体像を分子レベルで解明する。これにより、本微生物のバイオマス分解戦略について新たな知見を見出すとともに、自然に学ぶ形で他の有用微生物に本微生物の分解戦略を導入することによって、広範なバイオマスからの高効率な有用物質生産といった産業面での貢献にもつながる点で意義深い。 4種類の植物構成多糖(セルロース、キシラン、ガラクトマンナン、ペクチン)とグルコースのそれぞれを唯一の炭素源として培養し、菌体外に分泌されるタンパク質と菌体内タンパク質をそれぞれ経時的に回収し、420cmのモノリスカラムを用いたnano LC-MS/MSシステムにより経時的プロテオーム解析を行った。得られたデータについて、ネットワーク解析や経時的変化の解析を行い、C.cellulovoransの植物構成多糖への適応機構とそれに伴って発現を変動させているタンパク質のプロファイリングを行った。その結果、C.cellulovoransは植物細胞壁タンパク質を分解するためにプロテーゼを分泌生産するが、このプロテアーゼは同時に自身の菌体外タンパク質も攻撃して分解してしまうため、セルロソーム上にプロテアーゼインヒビターを生産することで自身のセルロソーマル酵素の分解を防いでいることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C.cellulovoransを各種多糖類を唯一の炭素源する培地にて生育させ、多糖類の種類に応じて生産される菌体外分泌タンパク質・菌体内タンパク質を経時的に回収し、プロテオーム解析を起こった結果、プロテアーゼとプロテアーゼインヒビターが協調的に発現されるといった、C.cellulovoransによる多糖類分解戦略についての知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
経時的プロテオーム解析の結果をもとに、炭素源中の多糖類認識に関わる遺伝子についても同定を試みる。特に多糖類の認識に重要な役割を果たす、情報伝達の上流に位置する因子を絞り込むことによって多糖類分解戦略についてさらに理解を深め、その全体像を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 端数が生じたため。 (使用計画) 次年度の助成金と合わせて使用する。
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