粘液細菌は種々のストレス条件下でジアデノシンポリリン酸(Ap4AとAp5A)を数-5倍程度増加させたが、大腸菌などに比べその増加量は少なかった。本菌ではApnAは主にリシルtRNA合成酵素によって生成され、また、主にApaHによって分解された。apaH欠損変異株は、野生株より5-10倍程度高い細胞内ApnA濃度を示したが、ストレス耐性を示さず、逆に顕著な胞子形成の低下を示した。Ap5Aはアデニル酸キナーゼ活性を強く阻害し、エネルギーの恒常性が維持できなくなるため、本菌ではApnAはストレス条件下では機能を持たず、分解酵素によって逐次ヌクレオチドに分解され、低い濃度に保たれていると考えられる。
|