研究課題/領域番号 |
16K07668
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
田淵 光昭 香川大学, 農学部, 教授 (00294637)
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研究分担者 |
櫻庭 春彦 香川大学, 農学部, 教授 (90205823)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 青枯病 / エフェクター / 酵母 / グルタチオン / 病原因子 / チオレドキシン |
研究実績の概要 |
本研究では、ナスやトマトなどの重要な作物に感染し枯死させる植物病原菌である青枯病菌Ralstonia solanacearumが産生する病原因子エフェクターについて分子構造レベルでの解明し、それによって青枯病に対する新たな防除法を開発すること目的としている。特に本研究では、我々が昨年JBCに報告したRipAYと呼ばれる宿主チオレドキシン(Trx)により特異的にγグルタミルシクロトランスフェラーゼ(GGCT)活性を活性化するエフェクターのTrx依存的な活性化メカニズムの結晶構造レベルでの解明とRipAAと呼ばれる機能未知エフェクターについての機能解明を目的としている。まず、RipAYについてはTrxとの相互作用部位およびGGCT活性活性化に必要なドメインを解析し、RipAYとTrxとの相互作用に必要なドメインはTrx依存的な活性化にも必須であることを明らかにした。また、結晶構造解析に必要なタンパク質の精製条件、結晶化条件の検討を行い、次年度以降に必要な結晶構造解析の予備的なデータを得た。RipAAについては酵母発現系を用いてRipAAの機能活性化には膜への局在化が必須であること、また、RipAAホモログ間で高度に保存されたアミノ酸残基を変異させると酵母に対する増殖阻害活性が無くなることを見出し、また、このアミノ酸残基周辺部分とある種の酵素が弱い相同性を有することを見出し、RipAAの分子機能の解明に迫ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RipAYについては、Trxとの相互作用に必須なドメインを明らかにし、結晶構造解析に必要な結晶化条件の予備的なデータおよび発現、精製条件など、初年度の目的を既に達成している。 RipAAについては、酵母発現系を用いてRipAAが膜への局在化がその活性に必須であること、RipAAの活性に重要なアミノ酸残基を同定し、分子機能解明の足がかりとなるデータを既に得ている。
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今後の研究の推進方策 |
RipAYについては、初年度に行なった条件検討の結果をもとにTrxとの複合体を精製し、結晶化を行う。結晶構造解析によりTrxによるRipAYの活性化メカニズムを分子構造レベルで解析する。 RipAAについては、酵母発現系および植物発現系により分子機能の解明を試みる。具体的には酵母発現系では、初年度に同定できた推定の活性中心と考えられるアミノ酸残基変異体と野生型RipAAを比較することで酵母内で起こる推定の標的タンパク質の変化をもとに機能を明らかにする。また、植物発現系ではアグロバクテリウムを用いて酵母で見いだされた各種変異体をタバコ葉で発現させ、RipAA依存的な過敏感反応の有無により機能との相関を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の見積額よりも実際に購入した消耗品が安価であったために残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品に使用する。
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