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2017 年度 実施状況報告書

分裂酵母のミニゴルジ体の集合化機構の解明と物質生産への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K07669
研究機関香川大学

研究代表者

田中 直孝  香川大学, 農学部, 准教授 (60324109)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード凝集体 / エンドソーム / 分裂酵母
研究実績の概要

ゴルジ体画分のTOF-MS解析により同定されたタンパク質群の中から配列内にcoild-coil領域を持つ機能未知のタンパク質Gmp1, Gmp2, Gmp3, Gmp4を取得した。本研究では、互いに相同性が高いGmp1, Gmp3, Gmp4に着目し研究を行った。Gmp-GFPを過剰発現させたところ、細胞内の数か所に集約したドットが観察され、凝集体を形成していることが考えられた。その局在を明らかにするため、分泌経路内のオルガネラマーカータンパク質と共発現させたところ、後期分泌経路のオルガネラであるエンドソームにおいて、ゴルジ体への逆行輸送を担っているレトロマー構成タンパク質の一つ、Vps35とGmp1過剰発現時の凝集体の局在が一致した。さらに、Gmp1を過剰発現させていない場合でのVps35と比べ、Gmp1過剰発現時のVps35が凝集体と同等の大きさのドット局在を示したことから、Gmp1の過剰発現によりエンドソーム画分を肥大化していることが考えられた。また、yeast two-hybrid法を用いた相互作用解析の結果、Gmp1, Gmp3, Gmp4がそれぞれ相互作用しており、Gmp1とGmp3, Gmp3とGmp4が相互作用していることが示され、Gmpファミリーが複合体を形成していることが推察された。Gmp過剰発現時の凝集機構を明らかにするため拡散条件を検討したところ、微小管合成阻害剤TBZの添加や、窒素飢餓条件において凝集体が細胞質中に拡散することが観察された。
Gmpファミリーの過剰発現によりエンドソームの肥大化が誘導されることが証明されることで、エンドソームを介した選別輸送の機能促進や、ストレス応答の解明にもつながると予想している。さらに、エンドソームの大きさが変化することによる物質生産の効率化が考えられ、細胞種を超えた物質生産への適用に繋がることが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Gmpファミリーによって形成されるエンドソーム様凝集塊によって、分裂酵母の分泌機能に影響が生じるか確認した結果、分泌糖タンパク質のモデルである酸性ホスファターゼの分泌や糖鎖修飾には殆ど影響が無いことがわかった。また、エンドサイトーシスへの影響をFM4-64の取り込みについて経時的に観察を行ったが、正常に液胞まで到達することがわかった。
本凝集塊は、窒素源飢餓や微小管形成阻害剤、14-3-3タンパク質欠損などにより拡散することから、神経性疾患など病態とも関連する易凝集性タンパク質の形成・分解機構の解明に拡がる可能性がある。gmp1遺伝子破壊株では、他のGmpによる凝集塊が形成されなくなることから、内在性のGmp1は易凝集性タンパク質の形成に重要な役割を果たしていることが推察された。

今後の研究の推進方策

エンドソーム様凝集塊の電子顕微鏡解析を行い、凝集形態の詳細な解析につなげたい。また、分泌タンパク質の輸送効率について、種々の糖タンパク質を発現させ、肥大化したエンドソーム様凝集塊の機能を解析する。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 当初計画していた電子顕微鏡解析の条件検討を年度を超えて慎重に行いたい。また、分子量の大きいモデルタンパク質の構築についても初年度に準備を行う予定だったが、次年度でも支障がないため。
(使用計画) 電子顕微鏡に供するサンプルの選抜と適した条件が決定次第、電子顕微鏡解析を行う。分子量の大きいモデルタンパク質の構築に必要とされる遺伝子工学関連試薬に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 細胞内で凝集塊を形成するGmpタンパク質の挙動と分子機構の解析2018

    • 著者名/発表者名
      寺島知里, 大山拓朗, 田淵光昭, 田中直孝
    • 学会等名
      日本農芸化学会2018年度大会

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公開日: 2021-01-27  

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