研究課題/領域番号 |
16K07670
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田代 幸寛 九州大学, 農学研究院, 准教授 (90448481)
|
研究分担者 |
酒井 謙二 九州大学, 農学研究院, 教授 (50205704)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | メタ発酵 / L-乳酸 / 食品廃棄物 / 微生物群集構造 / 複合微生物種菌 |
研究実績の概要 |
本研究では,複合微生物系を用いた発酵(メタ発酵)による高効率乳酸生産プロセスの開発および複合微生物群集構造の網羅的解析・機能解析を目的としている.平成29年度に実施した主な研究内容は下記の通りである。 1. 分離微生物群を用いたメタ発酵プロセスの開発 平成28年度に分離に成功した細菌株を用いて,未糖化の標準モデル生ゴミ培地を用いて,pH振動制御下,温度50°Cでメタ発酵におよぼす種菌の影響を検討した.主要乳酸生産細菌と予測されたBacillus coagulans分離細菌株をそれぞれ単一で純粋発酵しても既報よりも乳酸生産濃度が3分の1程度であった.ところが,他のBacillus種とメタ発酵を行った結果,乳酸生産濃度が向上し,既報と同等の乳酸を生産できる株を決定した.よって,糖化工程を省略した効率的なメタ発酵プロセスの構築に成功した. 2. 種々の複合微生物種菌を用いたメタ発酵と微生物群集構造解析 平成28年度には,1種類の堆肥を複合種菌として用いたメタ発酵プロセスを開発したが,本項では,他2種類の堆肥をそれぞれ用いたメタ発酵を検討した.未殺菌の標準モデル生ゴミ培地を用いて,pH振動制御下,温度を30-65°Cでメタ発酵を行った.その結果,種菌によって最大乳酸生産濃度を示す最適温度が異なったが,いずれの場合も最適温度でL-乳酸光学純度100%を達成した.さらに,発酵中の細菌群集構造を解析したところ,Bacillus coagulans種が主要乳酸生産菌であると推測したが,他の菌種も乳酸生産に寄与している可能性が示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に実施して上記で述べた研究概要は、すでに学会発表を済ませ,現在,論文投稿準備中であり、学術面からも優れた研究成果である。
|
今後の研究の推進方策 |
申請した研究方針に従い、今後は①次世代シーケンサーによる種々のメタ発酵プロセスの細菌群集構造解析、②次世代シーケンサーによる種々のメタ発酵プロセスにおける機能解析、を行う。
|