研究課題/領域番号 |
16K07673
|
研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
米田 英伸 富山県立大学, 工学部, 教授 (50285160)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ペントース代謝 / L-キシルロース還元酵素 / キシリトール脱水素酵素 / L-アラビトール脱水素酵素 |
研究実績の概要 |
石油代替燃料として食料と競合しないセルロース系バイオマスからのバイオエタノールの生産方法を開発するため、真菌由来の新規なペントース(D-キシロースやL-アラビノース)代謝酵素を探索し、その酵素遺伝子を酵母菌に導入することで、両ペントースからバイオエタノールを効率よく生産する組換え酵母を作製することを目的として研究を行った。 先ず、既に取得しているペントース代謝酵素のうち、Rhizomucor pusillus由来のL-キシルロース還元酵素(LXR)について、酵素化学的諸性質を明らかにした。本酵素は糸状菌におけるL-アラビノース代謝において、NADPHを補酵素として用いてL-キシルロースをキシリトールに還元する酵素として見出した酵素であるが、その他にはジヒドロキシアセトンを良好な基質としたため、グリセロール代謝への関与の可能性も考えられた。しかし、本酵素遺伝子の糸状菌における発現は、L-アラビノースにより誘導され、D-グルコース、D-キシロース、D-マンニトールにより阻害されることを明らかとすることで、本酵素のL-アラビノース代謝への関与が明確となった。 また、タイのプリンスオブソンクラ大学との共同研究によりタイのアルコール飲料スターターより単離したMeyerozyma caribbica由来のキシリトール脱水素酵素を昨年度の研究において取得しており、その酵素化学的諸性質を明らかにしている。本酵素はキシリトール脱水素酵素活性に加えてL-アラビトール脱水素酵素活性も有するので、ペントース代謝において唯一取得できていなかったL-アラビトール脱水素酵素の代わりに利用できると考えている。ただ、酵素活性自体が比較的低かったので、本酵素が有するL-アラビトール脱水素酵素活性をタンパク質工学的に強化することを目的として、まず、本酵素遺伝子を発現する大腸菌を作製し、組換え大腸菌から精製酵素を調製し、X線結晶構造のためのタンパク質結晶化を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペントースからの効率的なエタノール生産のために酵母菌に導入する真菌由来ペントース代謝酵素を準備することができ、それらの酵素化学的諸性質をすべて明らかにすることができたまた。また、タンパク質工学的手法を用いて比較的弱いL-アラビトール脱水素酵素活性を向上させるため、当該酵素の構造解析を行う準備を整えることができた。いずれもおおむね当初の計画通りに進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
酵素の構造解析とタンパク質工学的手法により、機能改良した酵素を取得し、ペントース代謝酵母の作製に適用して、ペントースからのエタノール生産の向上を目指す。
|