研究課題/領域番号 |
16K07693
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
船戸 耕一 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (30379854)
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研究分担者 |
田淵 光昭 香川大学, 農学部, 教授 (00294637)
田中 直孝 香川大学, 農学部, 准教授 (60324109)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スフィンゴ脂質 / TORC1 / TORC2 / Ypk1/2 / ORM1/2 / Gtr1 |
研究実績の概要 |
前年度の解析により、複合スフィンゴ脂質がTORC1の活性制御に関与することが見出された。スフィンゴ脂質の合成はTORC2によって調節されていることが知られている。また、我々はTORC2関連因子の変異株がラパマイシンに対して高感受性を示すことを明らかにしていることから、TORC1はTORC2によって調節されている可能性が考えられる。そこで、本研究では、TORC2の機能欠損株でTORC1の活性が低下しているかどうか、スフィンゴ脂質がTORC2によるTORC1の制御に関与しているかどうかについて解析を行った。その結果、1)TORC2の機能欠損株やその下流で機能しスフィンゴ脂質の合成を制御するYpk1/2の変異株でTORC1の活性が低下していること、2)TORC2の機能欠損株におけるTORC1の活性低下はYpk1の恒常的活性型の発現やスフィンゴ脂質の合成を負に制御するORM1/2遺伝子の破壊によって回復することを明らかにした。また、3)TORC2の機能欠損株ではGtr1の液胞への局在が異常になることも見出した。以上の結果から、TORC2はスフィンゴ脂質の合成を介してTORC1を調節していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、TORC1の制御にTORC2が関与するかについて、変異株や遺伝子発現株の表現型を解析し、明らかにすることができた。更に、TORC2によるTORC1の制御にスフィンゴ脂質が関与しているかどうかについても多重変異株を作製し解析することにより検証することができた。また、今後解析する予定である株やプラスミドの作製、それらを用いた予備的試験も前倒しで進めており、全体として、おおむね計画は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、1)スフィンゴ脂質によるTORC1の制御に液胞膜の脂質ドメインが関与するかどうか、また、2)液胞の酸性化や形態維持に関与する遺伝子の変異株を用いて、液胞の機能や構造がスフィンゴ脂質によるTORC1の制御とどのような関係にあるかについて調べる予定である。
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