研究課題/領域番号 |
16K07694
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
湯川 格史 広島大学, 先端物質科学研究科, 特任助教 (50403605)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 染色体分配 / 紡錘体 / 微小管 / キネシンモーター / 5型キネシン / 14型キネシン / 6型キネシン / 微小管ポリメラーゼ |
研究実績の概要 |
染色体分配装置である紡錘体微小管の双極構造形成にはキネシンモーター蛋白質が重要な役割を果たし、特に5型キネシンの働きが必須であると考えられていた。しかしながら、分裂酵母の5型キネシン(Cut7)と14型キネシン(Pkl1)を同時に欠損させた分裂酵母が紡錘体を形成できることを見出した。そこで、本研究では、既知のキネシンモーターに依存しない新たな紡錘体形成機構の解明を目指し、以下の研究を行った。 (1)5型および14型キネシン二重欠損株と合成致死性を示す変異株の解析 昨年度取得したcut7pkl1二重欠損株と合成致死性を示す7遺伝子欠損株のうち、6型キネシン(klp9)および微小管ポリメラーゼ複合体(alp7/alp14)について温度感受性変異を新たに取得し、これら変異株の致死条件における微小管動態をライブイメージングにより詳細に観察した。その観察結果から、既知のキネシンモーターに依存しない紡錘体形成機構として、まず、微小管ポリメラーゼが双極性の短い紡錘体微小管を構築し、さらに6型キネシンがその微小管を伸長させることで紡錘体を形成させると考えられた。Yukawa et al., Mol. Biol. Cell 28(25): 3647-3659 (2017) (2)14型キネシンKlp2の紡錘体形成における機能解析 分裂酵母のもう一つの14型キネシンKlp2がcut7pkl1二重欠損株の紡錘体形成にどのような役割を果たすかについて検討した。その結果、Klp2は紡錘体微小管上に局在し、Pkl1と同様、Cut7と拮抗的な力を発生させることで紡錘体形成に関わることを見出した。Yukawa et al., J. Cell Sci. 131(1): 1-11 (2018)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究成果として論文2報を公表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
5型および14型キネシン二重欠損株の紡錘体形成にける微小管ポリメラーゼの役割について、さらに詳細に調べる。また、cut7pkl1二重欠損株と合成致死性を示す他の変異株についてもライブイメージングによる詳細な微小管動態観察を行う。さらに、5型キネシン温度感受性変異株のサプレッサー変異株の解析を行う。これらの解析により、既知のキネシンモーターに依存しない紡錘体形成機構の全容解明を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)旅費の支出を抑えることができたため。 (使用計画)次年度の消耗品費にあてる。
|