研究課題/領域番号 |
16K07697
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
加藤 康夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
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研究分担者 |
野村 泰治 富山県立大学, 工学部, 准教授 (40570924)
荻田 信二郎 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50363875)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | チューリップ / 生物活性物質 / 有用物質生産 / チューリッパリン / チューリッポシド |
研究実績の概要 |
【小課題 1 医薬品、化粧品添加物としての PaB の脱石油化プロセスによる製造】について以下の研究を行った。 異種宿主(大腸菌)を用いた大量発現によるTCEBの安定供給系を確立した。植物酵素でありながら、本酵素は糖鎖を持たずかつ補欠因子も持たないために異種発現が容易であり、1L培養するだけで数千ユニット分のTCEBが簡単に得られることが分かった。大量に得られたTCEB酵素をマクロポーラス型のイオン交換樹脂に固定化し、前年度選抜したPosB高蓄積品種の花部抽出液と酵素反応させることで効率的にPaBへと変換した。得られた粗PaBをヤシ殻活性炭とエタノールのみを使用したバッチ法にて精製し、純粋なPaBを得た。 【小課題 2 チューリップに含まれる難入手微量生物活性物質である 1-Pos 類の大量調製】について以下の研究を行った。 学外研究協力者である富山県園芸研究所が保有する数百株のチューリップ遺伝資源を活用し、原種、栽培品種を問わず、PosD/F を高レベルに蓄積する品種をスクリーニングした。チューリップ栽培品種の各組織においてPosD、PosFはごくわずかしか検出されなかったものの、「モンテカルロ」のめしべでPosDが、「紫水晶」と「ヤンバンネス」のめしべにおいてPosFの蓄積が確認された。一方で、原種チューリップ中には頻度高くでPoFが高蓄積していることが分かり、PosF大量調製系の確立に先鞭をつけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【小課題 1 医薬品、化粧品添加物としての PaB の脱石油化プロセスによる製造】 植物酵素でありながら、TCEBは糖鎖を持たずかつ補欠因子も持たないために異種発現が容易であり、1L培養するだけで数千ユニット分のTCEBが簡単に得られたため。 【小課題 2 チューリップに含まれる難入手微量生物活性物質である 1-Pos 類の大量調製】 栽培品種中にはPosD/Fを高蓄積するものは見られなかったが、原種チューリップ中には頻度高くでPoFが高蓄積していることが分かったため。
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今後の研究の推進方策 |
【小課題 2 チューリップに含まれる難入手微量生物活性物質である 1-Pos 類の大量調製】 当該年度は、PosD/F を基質として 1-PosA を与える TCE 酵素反応条件を精査・最適化後、1-Pos類を大量に 調製し、抗菌、昆虫忌避、アレルゲン性等の各種生物活性を検定する。小課題 2 で大量に調製した PosF を 基質とし、 小課題 1 で確立した大量発現系にて得た TCEB を用い 1-PosA を生成する反応条件(酵素濃度、 基質濃度、 反応時間、温度、pH 等)を最適化する。最適化された反応系をスケールアップし、PosF からの 1-PosA の大量調製を行う。反応生成物の単離においては、小課題 1 で確立した活性炭を用いた精製法を活用す る。並行して1-PosB の化学合成も試みる。大量に調製した 1-PosA/B を用いて、溶解度やpH 安定性を検討するとともに、抗菌、昆虫忌避、アレルゲン性等の生物活性を検定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 消耗品の使用が研究の進捗状況により、一部次年度に持ち越されているため。 (使用計画) 次年度は計画通り使用する予定である。
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