研究実績の概要 |
細胞内での微小管重合には、主に中心体に存在するγ-tubulinリング複合体(γTuRC)が必要であることが知られているが、重合促進以外のγ-tubulinの機能や、その活性制御機構については不明な点が多い。また、γ-tubulinはがん化学療法の新たな標的分子としても注目されているものの、これまでγ-tubulin特異的な阻害剤として報告されているものは、我々が見出したgatastatinのみであり、がん分子標的としての妥当性については、以前不明のままである。我々はこれらの点を明らかにするため、gatastatin及びその類縁体を用いてγ-tubulinの細胞内機能の解析、及びより強力なγ-tubulin阻害剤の開発を目的に研究を行った。 まずγ-tubulin特異的阻害剤と併用した場合に、細胞毒性を相乗的に上昇させる薬剤の探索を行い、3種の化合物を得た。特にPlk1阻害剤との併用ではPCMの一つであるpericentrinのリクルートが相乗的に阻害されることを見出し、現在論文執筆中である。また他の2つの化合物との相乗効果についても標的分子の同定を進めているところである。 また、並行して様々なgatastatin類縁体を用いてγ-tubulin阻害活性に7位のphenyl基が重要であることや(Heterocycles, in press)、B環の置換基構造が活性に重要であることを明らかにした。さらに、よりγ-tubulin阻害活性が強い化合物を2つ見出し、特許申請を行った(特願2018-143346)。現在より活性が高い化合物の論文を作成しているところである。
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