研究課題/領域番号 |
16K07712
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 直紀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60463882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Dieckmann condensation / ジテルペン / 抗菌活性 / 抗腫瘍活性 |
研究実績の概要 |
Pseudolaric acid Bは強力な抗菌・抗腫瘍活性を有し、新たながん治療のリード化合物として期待されている。全合成はこれまでTrostらによる一例しか報告されていなかったため、本研究では類縁体合成にも応用可能な新規合成経路の開発を研究目的としている。 Pseudolaric acid Bの合成において最重要課題となるのが5員環と7員環のトランス縮環構造の構築であり、筆者はDieckmann縮合を鍵反応としてその構造を構築しようと計画している。本年度は鍵反応を検討するための基質の合成および鍵反応の検討を行った。まず、既知化合物であるケトエステルから9工程でDieckmann縮合前駆体を調製した。その途中段階のラジカル反応においてはベンジル系の保護基が望まない副反応を引き起こすという知見も得られた。Dieckmann縮合は四塩化チタンを用いる条件において進行することを見い出したが、得られた化合物は目的物ではなく3級水酸基がヘミアセタールを形成したものであった。そこでヘミアセタール形成を防ぐべく、3級水酸基を保護した新たな前駆体を合成し用いたところ、今度はリチウムヘキサメチルジシラジドを用いた場合に環化反応が進行することが分かった。さらにケトンの還元と脱水を進行させ、pseudolaric acid Bの5員環と7員環の母核構造の合成まで達成した。今後は側鎖部分の官能基変換と光学活性体合成へと研究を展開していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は鍵反応であるDieckmann縮合の検討を中心とした研究を行う予定であったが、それだけにとどまらずその後の7員環部分の二重結合の導入も達成でき、pseudolaric acid Bの5員環と7員環の母核構造の合成を達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要欄でも述べたように、基質合成の途中段階のラジカル反応においてベンジル系の保護基が望まない副反応を引き起こすという知見が得られたため、ベンジル系以外の保護基を採用して光学活性体合成を行っていく予定である。
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