研究実績の概要 |
ビタミン Eの8種の同族体(α-,β- ,γ-,δ-トコトリエノールおよびトコフェロール) の逆相HPLCによる同時分析法の確立を目的に、分離カラムおよび分離温度を中心に検討した。その結果、C30 カラムを用い低温条件を用いることにより、8種の同族体の完全分離を達成することができた。一方、低温条件でのカラム効率の低下については、流速を下げることにより改善することができ、最終的に、カラムとして Develosil C30-UG-3(4.6 x 150 mm)、移動相としてメタノール(100%)を用い、流速 0.9 ml/min、-4℃で溶出し、蛍光検出(Ex. 297 nm、Em. 325nm)することによりビタミン E の 8 種の同族体を 20 分以内で分離分析することができた。検量線はsub ng ~10 ng オーダーの範囲で良好な直線となり、S/N = 3 における検出限界は、0.011~0.055 ng であった。実際の食用油およびナッツ粉末、小麦胚芽等の分析に応用したところ、一部試料において共存する成分による妨害によりトコトリエノール類の分析が影響を受けた。この妨害については、ODSカラムとC30カラムを組み合わせた2次元HPLC法により排除することができ、トコトリエノール類の精密な分析を可能とした。 また、低温分離HPLC法を、天然物中に含まれる分岐アルキル鎖を有する化合物の絶対立体構造の決定、並びに異性体組成分析に応用した。その結果、gammaproteobacterium Microbulbifer sp. から単離された、抗菌活性並びに細胞毒性のあるアンテイソ型分岐不斉を持った新規アルカノイルイミダゾール化合物の分岐不斉の立体構造をS体が主ではあるが、R体も9%程度含まれることを明らかとした。また、アンズの害虫のフェロモンの立体異性体組成分析を2D-HPLC法で行い、それらの異性体組成を明らかとした。
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