研究課題
CAST/CNMRは化学構造式から13C NMR化学シフト値を予測、あるいは13C NMRシフト値から部分構造を検索し化学構造式を提案する機能を有するシステムで独自のデータベースを利用する。CAST/CNMRの機能を活用し、報告されている13C NMRデータの的確な評価を行い、応用研究として既知化合物を異なる構造の新規化合物として誤った報告をしている事例を効率的に見出し、正しい構造を提案する構造訂正研究を目的とする。最近の文献を中心に、様々な骨格の化合物の構造情報と13C NMRデータをCAST/CNMRのデータベースに登録し、文献記載の構造に関してCAST/CNMRを実行して構造式及び13C NMRデータの評価を行なった。評価の結果、クレロダン骨格のジテルペンの報告において、デカリン部分がtrans型からcis型に構造訂正すべき化合物や、側鎖の13位の二重結合の立体化学を訂正すべき例が複数見出された。ラブダン型ジテルペンではcis型のデカリン骨格として報告されているcis-sclareolなどはtrans型のデカリンで9位のエピマーと訂正した。プレニル化されたフェノール類ではオルト位に水酸基のある構造の化合物の多くでプレニル基に水酸基が導入された、(Z)-3-ヒドロキシ-3-メチル-1-ブテニル基を有する場合に、側鎖水酸基とフェノールの水酸基の間でエーテル結合したクロメン骨格の化合物に構造訂正される事例が多く見出された。ポリケタイドの評価の過程で、合成ポリプロピレンの立体異性体のデータを活用できるか検討し、ポリマーのデータをオリゴマー構造に分割して登録し、利用可能であることを確認した。CAST/CNMRの部分構造検索のためクエリー設定と、シフト予測結果のスペクトル表示に関するGUIの開発によってCAST/CNMRシステムの一般へのフリーウェアとしての公開を行った。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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