昨年度までに、肥満誘導食を持続的に摂取させることで、食事負荷に対するGLP-1分泌応答が高まること、それには、高ショ糖食よりも高脂肪食の寄与が大きいこと、さらにGLP-1の分泌増進は耐糖能異常の発症について防御的に働くこと、などが明らかとなった。 平成30年度は、これまでの試験では比較的若齢(試験開始時5週齢)のラットを試験に用いていたが、平成30年度は、より週齢の進んだ成熟ラット(試験開始時10週齢)を用い、肥満誘導食摂取によるGLP-1分泌応答への影響を調べた。 5週齢 (若齢)と10週齢 (成熟)のSD系雄性ラットを、AIN-93G標準食を与えるControl群と高脂肪食とスクロース水を与えるHFS群に分け5週間自由摂食させた。2週後と4週後に食事負荷試験を行い,GLP-1分泌応答を観察した。食事負荷試験では,一晩絶食下のラットに経腸栄養剤を経口投与し,食前および食後120 分まで経時的に採血した。 2週後の食事負荷試験において,若齢ラットではHFS群で食事負荷に応答してGLP-1が分泌されたが,Control群ではそれがみられなかった。4週後の食事負荷試験では,若齢ラット,成熟ラットとも,HFS群でControl群よりもGLP-1が強く分泌される傾向にあった。以上より、肥満誘導食の持続的な摂取は,食事に対するGLP-1分泌応答を高めるが、若齢ラットの方がその影響が速やかに観察されることが明らかとなった。
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