昨年度までの研究により、C2C12筋管細胞においてin vivoで認められたメチオニンによる骨格筋分解抑制作用が認められない原因として考えられたメチオニンの代謝産物、メチオニン投与によるグレリンなどのホルモンの影響は可能性が低いことが明らかになった。骨格筋は白筋と赤筋からなる。そこで、白筋と赤筋でメチオニンに対する応答性が異なる可能性について検討を行なった。 ラット後肢筋から長指伸筋(速度、白筋)とヒラメ筋(遅筋、赤筋)を摘出し、KRB緩衝液中で95%O2-5%CO2通気しながら2時間5mMメチオニン存在下インキュベーションした。緩衝液中に放出された3-メチルヒスチジン濃度を測定することで分解速度を、両筋肉中のオートファジーの活性評価として活性型LC-3をウエスタンブロットで検出した。しかし、5mMという高濃度のメチオニン存在下ではHPLCで3-メチルヒスチジンを測定することはできなかった。そこで、固相カラム(陽イオン交換カラム)を用いて前処理をし、メチオニンを除く方法により3-メチルヒスチジンを測定できる方法を開発した。 ヒラメ筋ではメチオニンによる3-メチルヒスチジンの放出速度抑制は認められなかったが、長指伸筋ではメチオニンによる放出速度が抑制傾向が認められた。さらに長指伸筋ではメチオニンにより活性型のLC3の減少傾向が観察された。以上より骨格筋の種類によりメチオニンの応答性が異なるという新たな知見を得ることができた。
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