研究課題
昨年度までの研究において、核内受容体PPARalpha活性化時の褐色脂肪組織機能の亢進機構について明らかにし、食品由来のPPARalpha活性化因子としてphytanic acidを同定した。phytanic acid摂取マウスでは、褐色脂肪組織機能の亢進が認められ、培養細胞を用いた実験により、脂肪細胞PPARalpha活性化を介したphytanic acidによる褐色脂肪組織機能亢進が示唆された。今年度は別の核内受容体型転写因子であるPPARgammaが、肥満時の褐色脂肪細胞機能低下に関与する分子機構について検討を行った。肥満児には褐色脂肪組織機能の低下が示唆されるが、その分子機構の全容は明らかにされていない。我々は、肥満状態の脂肪組織において惹起される小胞体ストレスが褐色脂肪組織機能に与える影響について検討を行い、ERストレス誘導下では褐色脂肪組織における熱産生責任因子であるUCP1の発現量を低下させることを見出した。ERストレス誘導によるUCP1発現量の低下にはJNKの活性化に伴うPPARgamma(褐色脂肪組織機能活性化に重要な核内受容体型転写因子)のmRNA、タンパク質発現低下を介したPPARgの活性低下の関与が示唆された。以上より、肥満時の脂肪組織において惹起される小胞体ストレスはJNKの活性化を介してPPARgammaの活性を低下させることにより、UCP1機能に代表される褐色脂肪細胞機能を低下させることが示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件) 備考 (1件)
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