加齢による消化管のバリア損傷と修復の分子基盤を解明するとともに、タイトジャンクション(TJ)バリアを増強・保護しうる食品成分を見出すことを目的とした。老齢マウスの腸管において、TJ分子のClaudin-3と-7が低下し、腸管バリアが損傷していることが確認された。また、老化の要因として知られる酸化ストレスによる腸管バリア損傷を軽減する機能性素材として、ポリフェノールのケルセチンが見出され、その作用機序の一部が明らかとなった。さらに、加齢とともに罹患リスクが増大する慢性腎不全のモデルマウスは、腸管バリアの損傷と腸内細菌叢のディスバイオーシスを起こしたが、食物繊維の摂取はこれらの異常を軽減した。
|