研究課題
昨年度まで、メタボリックシンドローム発症時のコレステロール逆転送系低下誘引やHDL比を改善する候補食事因子として、トランス型脂肪酸や飽和脂肪酸のin vitroおよびin vivoにおける作用を検討してきた。本年は、候補食事因子を脂質からタンパク質に変更し、評価系を食欲抑制ホルモン作用不全による肥満・糖尿病発症モデルであるdbdbマウス及びOLETFラットで行うことにした。その中で、植物由来タンパク質が肥満モデルOLEFラットにおいて、血中総コレステロール低下作用を示すと同時に、リポタンパク質組成におけるHDL-コレステロールの割合の顕著な上昇が認められた。また血中微量ステロール濃度を指標として吸収・合成活性を評価したところ、吸収活性及び合成活性の有意な低下が認められた。その際の肝臓に於いて、コレステロールプール量およびコレステロール代謝関連遺伝子発現への影響を検討したところ、コレステロール排出に関与するATP-バインディングカセットG8の発現が31%上昇していた。現在、そのタンパク質発現量の検討を進めている。さらに、活性アミノ酸配列本体の探索のために酵素消化した植物タンパク質を調整し、肥満モデルdbdbマウスで評価したところ、血中コレステロール低下作用が認められたことから、更なる分画とin vitroおよびin vivoでの活性画分の絞り込みを進めて居る。その他、動物性タンパク質についてもOLETFラットおよびdbdbマウスでの評価を行ったが、と入グリセリド低下作用は示すもののコレステロール代謝への影響が顕著でなかったため、候補食事因子としては除外した。以上の結果から、植物由来タンパク質中のペプチド分画とABCトランスポーターとの相互作用を検証していくことで、病態発症機序解明と代謝改善機能性食事因子の開発が同時に進展することが期待された。
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