欧米における疫学調査から、HDL代謝を低下させる動脈硬化性疾患の危険因子として幾つかの脂質成分が挙げられているが、作用機序と構造との関係に関する詳細は不明である。本研究では、俗に言うトランス型脂肪酸がHDL代謝に及ぼす影響を細胞系および生体系で検討を行ったが、その悪玉性は証明されなかった。一方で、植物性タンパク質が肝臓のステロールトランスポーターの発現を変動させることで生体でのHDLコレステロールの比率を向上させることを見出した。以上のことから、今後の病態発症機序解明と代謝改善機能性食事因子の開発におけるターゲットとなる疾患遺伝子を強く示唆することが出来た。
|