研究課題/領域番号 |
16K07748
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
成田 宏史 京都女子大学, 家政学部, 教授 (30155999)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / IgA免疫複合体 / 経口免疫寛容 / プロバイオティクス / 母乳哺育 |
研究実績の概要 |
【目的】我々はこれまでに、ヒト母乳及び唾液中に食品タンパク質が分泌型IgAとの免疫複合体(IgA-IC)を形成して存在することを報告し、マウスによる母乳哺育実験によって、母親が摂取したタンパク質特異的に、乳児に経口免疫寛容が誘導されることを明らかにしてきた。そこで本研究では、①マウスを用いて、母親の乳酸菌摂取により母乳中のIgA-IC産生が増強されるかどうか、②OVA・IgA-ICの含有量が特徴的に高いヒト母乳の投与により、マウスにOVAに対する経口免疫寛容が誘導されるかどうかを検討した。 【方法・結果】①雌BALB/cマウスを交配し、試験群には1%乳酸菌添加卵白餌を、対照群には卵白餌を出産前後計8週間摂取させた後、搾乳した。母乳中OVA及びOM・IgA-ICを定量したところ、有意差はなかったものの対照群に比べて試験群でICが高い傾向にあることがわかった。今後個体数を増やして追加実験を行うと同時に、乳酸菌を摂取した母親の母乳で育った乳児におけるアレルギー抑制効果を検討したい。 ②43検体のヒト母乳を解析し、OVA・IgA-ICの含有量が特徴的に高かった5検体を抽出して混合し、投与用サンプルとした。離乳直後のマウスに、試験群にはこの母乳を50μLもしくは100μL、対照群には市販人工乳100μLを6日間1日2回経口投与した。次にOVAと免疫助剤で2回免疫を行った後、OVAを経口投与し、アレルギー性の下痢発症を評価した。その結果、試験群において対照群に比べて下痢症状の抑制がみられた。さらに血中OVA特異的IgG1を測定したところ、試験群において産生の抑制がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験担当者が交代し,動物実験手技に慣れていなかったため,研究の幅も狭くなってしまったし,行った実験も誤差が大きく有意差を出すことができなかった。今年度は改善されると思う。
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今後の研究の推進方策 |
総力を挙げて遅れを取り戻すつもりでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究担当者が交代し,不慣れであったため研究(特に動物実験)の展開が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
アルバイトの導入により,進展を計りたい。
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