研究課題/領域番号 |
16K07750
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
木村 俊之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品健康機能研究領域, 上級研究員 (70355303)
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研究分担者 |
山岸 賢治 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品生物機能開発研究領域, 上級研究員 (80355304)
仲川 清隆 東北大学, 農学研究科, 教授 (80361145)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | DNJ / 吸収、排出 / 組織蓄積 / 安定同位体ラベル |
研究実績の概要 |
アザ糖である1-デオキシノジリマイシン(DNJ)は桑葉や大豆発酵食品などに含まれ消化管でαグルコシダーゼ阻害を示すことにより、食後の血糖値上昇を抑制する。DNJを機能性食材として展開するためには科学的な安全性の検証が必要である。 本年度は、昨年の予備的な試験により、安定同位体ラベル化DNJのマスバランス、組織蓄積の評価の有効性が確認できたところから、予備試験の結果を受け本試験を実施し、DNJの吸収・排出、組織蓄積の評価を行った。 7週齢のSDラット(雄性、n=13)を12時間絶食後、水をゾンデ投与したのち、0-5時間、5-10時間、10-24時間、24-48時間、48-72時間、72-96時間のフン、尿を採取した(対照区)。なお、試験期間中は水およびエサは自由摂取とした。対照試験後、3日間のウォッシュアウト時間を設け、次にDNJを40mg/kgBWになるようにゾンデ投与し、対照区と同様にフン、尿を採取した(DNJ投与区)。その後屠殺し、肝臓、腎臓、胃、小腸、大腸、膵臓、脾臓、肺、心臓、脳、精巣、精巣周囲脂肪、腎臓周囲脂肪、腸間脂肪、血球、血漿、と体を採取した。得られたフン、尿、各種臓器は全窒素定量の後、15/14Nの比を測定し、15Nの回収率を求めた。 その結果、尿においては0-5時間で15Nのほとんどが排出され24時間後には投与量の18%程度でプラトーに達した。フンでは尿におくれ0-5時間ではほとんど排出されず、5-10時間、10-24時間にかけ漸次15N が排出されたのち投与量の52%程度でプラトーに達した。各種臓器においては広く15Nが検出され臓器中に15Nが移行していることが明らかとなった。臓器中の15/14Nについては大きな差は見られず、特異的な臓器に局在する傾向はなかった。フン、尿、臓器中のトータルの15Nの回収率は102%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の予備試験の結果を受け、今年度は試験設計を見直しラットn数を13匹に増やし、本試験を行った。本試験で得られた結果は、予想に反し15Nがラットの体に分布していることが判明したが、期待通りの結果であった。このため、研究の推進に大きな変更はなくおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は長期摂取(3ヶ月)における臓器へのDNJの臓器蓄積を経時的に評価する。H29年度のマスバランス試験では、体全体に15Nが低濃度であるが広く分布していたことから、DNU以外の夾雑物の影響の懸念を排除するため、現状のDNJにさらに分取HPLCにより高度精製をしたものを使用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を適正に使用した結果、見積もり額よりも納入価格が安くなったため。安定同位体窒素分析にかかる試薬、消耗品の購入に使用する。
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