研究課題/領域番号 |
16K07769
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
大久保 達弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10176844)
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研究分担者 |
飯塚 和也 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20344898)
逢沢 峰昭 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (70436294)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 奥山里山 / 落葉広葉樹林 / ササ / 放射性セシウム / 落葉 / 樹上葉 / 栃木県 |
研究実績の概要 |
調査地の栃木県内の空間線量率の異なる場所を調査地として選定した。奥山広葉樹のブナ・イヌブナ林は、栃木県高原山ブナ・イヌブナ林(大面積長期生態系観測プロット)(以下高原山)に1ヶ所、里山広葉樹のコナラ林は、栃木県那須塩原市関谷(空間線量率高度)(以下関谷)、塩谷町宇都宮大学船生演習林(空間線量率中程度)(以下船生)、栃木県那須烏山市大木須(空間線量率低度)(以下大木須)に3ヶ所、計4ヶ所に調査地を設置した。福島第一原発事故以降、落ち葉かきが行われていない場所で林床土壌の堆積有機物層(A0層)、表層土層【A層(地下5cm以内)】および隣接するリタートラップで事故後(2011年秋)に採取された落葉について、その空間放射線率(μSv/hr)をNaIシンチレーションサーベイメータで、リタートラップで採取した落葉、落葉樹林林床のA0層とA層土壌の放射性Csからのγ線放射能濃度(Bq/kg(乾燥重量))をオートウェルガンマカウンタで測定し比較した。原発事故以降の6年間(2011~2016)で落葉中の放射性セシウム濃度は大きく減少したが(Cs-137で約1/4)、毎年夏季(7月~9月)に一時的な濃度上昇が見られた。また、表層土壌の放射性セシウム蓄積は地表から5cm以内の深さに留まっていた。樹体から林床への放射性セシウムの移行過程を検討するために、樹上の生葉および年別の枝の放射性セシウム濃度を前述2カ所の落葉広葉樹林で3年間(2014-2016)測定した。ブナ類およびコナラの樹上葉と当年枝の放射性セシウム濃度は二年枝・旧年枝よりも高かったが、落葉期では二年枝・旧年枝の値が樹上葉と当年枝より高かった。また、いずれの枝葉の値とも測定開始(5月)以降減少がみられた。以上、夏季の落葉の放射性セシウム濃度の上昇は春季の高い濃度の樹上葉の落葉により増加している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで継続調査されてきた4カ所の調査地において、滞りなく調査を終了した。また、樹上葉と落葉の放射性セシウムの関係解析においても調査を終了した。林床のササ類の調査についても同様に調査を終了した。以上解析に必要な年度調査は終了したことから、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はこれまでの調査に加えて、安定セシウム、安定カリウムの定量化を樹上葉と落葉において実施し、放射性セシウムとの相対的なパターンを比較する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで継続調査されてきた4カ所の調査地において、滞りなく調査を終了した。また、樹上葉と落葉の放射性セシウムの関係解析においても調査を終了した。林床のササ類の調査についても同様に調査を終了した。しかしながら、放射能測定に当初の予定より時間がかかり、物品費、人件費で当初の予定通り使用できなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
放射能測定を早急にすすめ、物品費、人件費において予定通り使用できるよう努める
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