研究課題/領域番号 |
16K07771
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
加藤 顕 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 助教 (70543437)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | レーザー / 3次元データ / 森林管理 / 競争指標 / 樹冠体積 |
研究実績の概要 |
本研究は、地上レーザーによる3次元データから樹冠構造を把握し、樹木の個体間競争を樹冠配置から評価することを最終目標とする。具体的には、地上レーザーによる3次元データから森林内の樹冠の3次元分布を正確に計測する。他の林齢での樹冠構造と比較し、成長による樹冠形状変化を把握し、個体間競争を樹冠構造の発達と関連付けて評価する。その結果、森林の生育環境に必要な最適な手入れの条件を3次元データから評価できるようにする。対象とする森林の競争状態が評価できれば、今後の森林管理に有効な、高度な森林情報を提供できる。 これまでの競争指標で用いられてきた2次元データでは、森林内の状況を把握するのに限界があった。そこで、森林内の状況も正確に把握できる地上レーザーによる3次元データを活用することで、これまで測定できなかった森林の樹冠配置を正確に測定する。これまでの研究では不可能であった成長段階に応じた樹冠構造の変化を把握し、樹冠レベルでの個体間競争のプロセスを明らかにすることが本研究の目的である。個体間競争を3次元データから評価できれば、枝打ちや間伐等による樹木管理の効果を事前に把握できるため、従来の経験則に基づいた森林管理よりも、より確かな情報によって森林計画を行うことができる。森林現場へ高度な情報を提供することができるため、早期の研究発展が求められている。地上レーザーによって正確に再現された3次元樹冠配置を用いたシミュレーションを行い、対象となる樹木の上方に位置する樹冠体積の割合から競争指標を算出する新たな競争指標の開発を行う。 今年度は研究の初年度として、3次元データ取得を行った。また、得られた3次元データより樹冠体積の計算する手法を確立し、競争指標に用いるためのデータ解析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度における当初の目標として、対象とする調査林分の設定、調査林分での地上レーザーによる3次元データを取得、対象木に対して、従来の方法である人の手による樹形測定を現地調査で行い、地上レーザーによる樹冠形状の計測結果と比較し、正確性を検証する。 研究対象の候補となる樹種は常緑針葉樹、落葉針葉樹、常緑広葉樹、落葉広葉樹を想定している。対象樹種の選定理由は、研究候補地としている場所で、個体群が成立していることを事前に確認しているためである。 今年度、常緑針葉樹、常緑広葉樹、落葉広葉樹のデータ取得が完了し、樹種によって比較検証できる十分なデータを取得できた。また競争指標と他の生態学法則を比較検討し、3次元データを活用した新たな競争指標の開発に必要な、理論的裏付けを行っている。また、3次元データを用いた樹冠体積を正確に計算する解析手法を確立できたため、競争指標で必要となる樹冠部の3次元分布を正確に把握することができるようになった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、3次元データから対象木とその近隣木の3次元データを抽出し、樹冠の3次元配置を解析する。また、3次元データより、競争指標を算出するためのシミュレーションを開発する。3次元データによる新たな競争指標を検証するために、新たな調査場所を設定し、検証用データから同様な競争指標が算出できるか検討し、3次元データを用いた競争指標の検証を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査が初年度だけですべて終えることができなかったため、次年度に旅費を繰り越して引き続き調査を続ける予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
旅費として次年度で使用する予定である。
|