研究課題
本研究は、地上レーザーによる3次元データから樹冠構造を把握し、樹木の個体間競争を樹冠配置から評価することを最終目標とする。具体的には、地上レーザーによる3次元データから森林内の樹冠の3次元分布を正確に計測する。他の林齢での樹冠構造と比較し、成長による樹冠形状変化を把握し、個体間競争を樹冠構造の発達と関連付けて評価する。その結果、森林の生育環境に必要な最適な手入れの条件を3次元データから評価できるようにする。対象とする森林の競争状態が評価できれば、今後の森林管理に有効な、高度な森林情報を提供できる。これまでの競争指標で用いられてきた2次元データでは、森林内の状況を把握するのに限界があった。そこで、森林内の状況も正確に把握できる地上レーザーによる3次元データを活用することで、これまで測定できなかった森林の樹冠配置を正確に測定する。これまでの研究では不可能であった成長段階に応じた樹冠構造の変化を把握し、樹冠レベルでの個体間競争のプロセスを明らかにすることが本研究の目的である。個体間競争を3次元データから評価できれば、枝打ちや間伐等による樹木管理の効果を事前に把握できるため、従来の経験則に基づいた森林管理よりも、より確かな情報によって森林計画を行うことができる。森林現場へ高度な情報を提供することができるため、早期の研究発展が求められている。地上レーザーによって正確に再現された3次元樹冠配置を用いたシミュレーションを行い、対象となる樹木の上方に位置する樹冠体積の割合から競争指標を算出する新たな競争指標の開発を行う。今年度は、取得した3次元データより競争指標に用いるためのデータ解析を行った。ボクセル解析という手法を検討し、3次元空間内にある樹木の構造による空間占有率を考慮した競争指数の開発を検討した。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、3次元データから対象木とその近隣木の3次元データを抽出し、樹冠の3次元配置を中心に解析を行った。また、3次元データより、競争指標を算出するためのシミュレーションを開発を行った。そのために、森林構造を表すボクセル解析を行い、光が森林内をどのように通過するかシミュレーションをできるようにした。その結果、3次元データを用いた新たな競争指標とするために、森林構造だけではなく光環境を定量的に解析できるようになった。さらに、ボクセル解析によって、森林の最適密度をフラクタル次元により把握できるようにした。その結果、森林構造自体の最適密度と、対象とする森林の光環境を3次元データによって解析できるようになった。
来年度が本研究の最終年度であるため、本研究で得られた結果をとりまとめ、論文として公表や学会での発表を積極的に行いたい。また、競争指数を誰でも容易に用いることができるような簡易な3次元データ取得方法の開発、さらに、3次元データを用いて汎用性の高い解析手法にするため、容易な解析手法の開発を行いたい。過去に用いられた競争指標とは異なる3次元データだからこそできるようになった解析結果を取り入れ、基礎から応用まで汎用性の高い解析手法の確立を目指す。
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