研究実績の概要 |
平成30年度は,昨年度,カスタマイズ版システム収穫表LYCS(サブモデル)より出力した,都道府県別・樹種別(スギ・ヒノキ・カラマツ)・齢級別・径長別の最適採材パターンを,メインモデルへ実装した。この実装をもって,本課題の目的のひとつである,「最適採材による用材・燃料材区分を考慮した都道府県別・間伐材生産量予測モデルの開発」が完了した。 またこのメインモデルを用いて,本課題の目的のひとつである,「2020年国産材生産目標3,200万m3の達成可能性」を検討するため,2020年までの間伐材生産量の予測(シミュレーション)を行った。シミュレーションでは,モデルの主要パラメータである,間伐面積,間伐材搬出率の2つについて,2012年(実績値)から2020年にかけての変化の傾向を数パターン準備した。ひとつは,2011年以前の時系列変化の傾向をそのまま延長した「すう勢シナリオ」である。他には,47都道府県を,地形因子・社会経済因子・地理的配置によるクラスタリング結果を加味して10グループに分類しグループごとに,パラメータの変化の傾向に幾つかの仮定をおいた「主伐重視(間伐減少)シナリオ」,「間伐重視シナリオ」等である。これらシナリオに従い,都道府県別の間伐材生産量およびそれらの全国合計値がどのように変化するか調べた結果,2020年のシナリオ別見通しとして,2012年比で, 「主伐重視」は微減(△6%),「すう勢」は微増(+7%),「間伐重視」は増加(+28%)となった。ただし2020年の間伐材生産目標640~960 (万m3) は,「すう勢」,「主伐重視」,「間伐重視」のいずれのシナリオでも達成できる見込みであり,(2018年時点から見て)直近の生産目標を達成する上では,現状の間伐傾向で問題ないことが示唆された。
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