申請者はこれまでに絶滅危惧種であるトガサワラやヤクタネゴヨウの菌根菌群集を安定時と攪乱時の感染源の両面から明らかにし、攪乱時の菌根菌の感染源が両樹種の実生の生育を助けることを発見した。本研究では広葉樹であるアポイカンバでも同様の研究を行ったところ、これまでの樹種とは異なったパターンを示し、安定時の感染源のみが実生の生育を助ける結果となった。本研究から得られた結果は、菌根菌を利用した絶滅危惧樹木の保全手法は、対象樹種の実生の感染源によって変える必要性が示され、今後世界各地で衰退や絶滅が危惧される同様の樹木にも応用する意味で非常に意義のあるものとなった。
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