採集されたヒノキ科樹木の病害標本およびタイプ標本の観察から、既知の2種の他、本属菌に転属すべき2種、日本新産種となる3種が認められた。さらに、ヒノキ科を含む針葉樹3科20属から分離されたPhyllosticta属菌の分子系統解析、形態的特徴、温度特性、病原性の確認を行い5系統になることを明らかにした。これまでPhyllosticta属菌は典型的な病斑を形成し宿主植物が限定される種と多犯性で病原性の無い内生菌の2つのグループが知られていた。しかしながら、ヒノキ科に寄生するPhyllosticta属菌は既知の種概念とは異なる典型的な病斑を形成する多犯性の種が存在することが初めて明らかとなった。
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