本研究は(1)森林での活動を構成する諸要素と活動への評価の関係性の検討、(2)重度者の参加様態の精査、(3)森林活動のストレス低減効果の検討から地域資源としての森林の活用策について提言を行う事を目的とする。 研究項目(1)(2)では、これまでに実践した活動への施設職員からの評価に統計手法を適用し、施設職員が森林活動の評価で重視する「活動の雰囲気」、「重度者の参加」の基準と活動構成要素との関連性を検討した。検討に供した活動の構成要素は、内容・場所・参加形態・移動・要求動作・器材・動植物・安全性・準備・時間・活動目的・降雨の12条件とした(総事例数118:数量化Ⅰ類を適用)。その結果、活動の雰囲気では場所・参加形態・移動・動植物・安全管理・時間・不快指数(活動実施日の天候)への配慮の重要性が見出され、具体的には、①安全な場所での実施、②グループでの活動、③移動が短距離で済む活動、④草花・樹木が提示される、⑤過ごしやすい温度・湿度、⑥安全で活動時間が適切であることが求められていた。また、重度者の参加への配慮事項としては、内容・場所・参加形態・移動・要求動作・器材・動植物・安全性・時間・降雨・不快指数が求められ、①散策やゲーム形式の活動、②安全な場所での実施、③参加者の自由度が高い、④移動が短距離で済む活動、⑤生活基本動作や運動基本動作が可能なら参加できる内容、⑥教材・器材・動植物が提供される、⑦過ごしやすい温度・湿度、⑧安全で活動時間が適切であることが求められていた。 研究項目(3)では、高いストレス状態にある施設利用者を対象に活動前後のストレス値の変化の比較(散策型の活動・体験やゲーム型の活動に分けて比較)から、散策型の活動においてより多くの参加者のストレスが軽減されることが示唆された。
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