釜淵森林理水試験地(山形県)では水収支式から求められる蒸発散量に長期的な減少傾向が見れらた。試験地の気温は上昇傾向が見られ、これは降水量と流出量の増加につながっていると考えられた。飽差と日射量にも増加傾向がみられ、このことは蒸発散量を増加させる方向へ働くと考えらえる。一方で、年輪のセルロースのδ13Cから計算される水利用効率は増加しており、この増加は大気中のCO2濃度の上昇に起因すると考えられた。本試験地で蒸発散量に対する日射量と飽差の物理的な影響もあるが、大気CO2濃度の上昇による水利用効率の上昇、それに伴う蒸散量の減少が、長期的な蒸発散量の減少に大きな影響を与えていると考えられた。
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