研究課題/領域番号 |
16K07801
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研究機関 | 山梨県森林総合研究所 |
研究代表者 |
長池 卓男 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 主幹研究員 (50359254)
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研究分担者 |
飯島 勇人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30526702)
大地 純平 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 研究員 (00536279)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ニホンジカ / 剥皮 / 更新 / 亜高山帯針葉樹林 |
研究実績の概要 |
富士山北面の標高2100mにおける亜高山帯針葉樹林において、ニホンジカの剥皮の経時変化と剥皮後の枯死について明らかにした。1999年に、50×140mの調査区を設定し、樹高2m以上の立木を対象に、胸高周囲長の計測と、ニホンジカによる剥皮を調査した。その後、2001年、2003年、2005年、2007年、2012年、2017年に再計測を実施した。剥皮は2003年から急増し、2012年に最も多かった。シラビソが最初に多く剥皮され、次いで、コメツガやオオシラビソも剥皮されるようになった。剥皮の程度にもよるが、剥皮後の年数が経過するに従い生存率は低くなるものの、剥皮後12年経過しても平均で40%程度の生存率であることが明らかとなった。この結果は国際誌(査読あり)に受理された。 南アルプス北岳の亜高山帯において、ニホンジカによる植生への摂食が均質化に及ぼす影響について定量的に評価した。被食率は、2014年にはダケカンバ林と 高茎草原でほぼ同様であったが、それ以外の調査年はダケカンバ林で高かった。ダケカンバ林では、2014年まで低下していたが、それ以後は増加していた。高茎 草原では、低下傾向が継続していた。種多様度(H’)と単位面積あたりの種数)は、それぞれダケカンバ林で高茎草原よりも高く、また低下の継続傾向が見ら れた。多重応答順列法(MRPP)により種組成を比較すると、ダケカンバ林と高茎草原は調査期間を通じて有意に異なっていた。2010年の種組成とその後の種組成 をそれぞれの植生タイプにおいて比較したところ、高茎草原では有意な差異が見られなかったが、ダケカンバ林では2014年以後に有意な差異が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた調査をほぼ実施し、成果の一部も国際誌に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となるため、投稿論文の執筆をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費を使用しなくとも調査が実行可能な状況となったため、人件費・謝金を使用しなかった。次年度の成果発表や調査の旅費として使用する。
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