研究課題/領域番号 |
16K07801
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研究機関 | 山梨県森林総合研究所 |
研究代表者 |
長池 卓男 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 主幹研究員 (50359254)
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研究分担者 |
飯島 勇人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30526702)
大地 純平 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 研究員 (00536279)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ニホンジカ / 剥皮 / 更新 / 亜高山帯針葉樹林 / カラマツ |
研究実績の概要 |
気候変動の影響が顕著になりつつあるため、森林分野でもその適応策の考案や研究進展が望まれている。本研究では、気候変動下における樹木分布移動に人工林とニホンジカが及ぼす影響を明らかにし、気候変動適応策としての人工林とニホンジカの管理への提案を行う。 落葉広葉樹林帯から高山帯下部までの標高傾度において、赤外線センサー付自動撮影カメラによりニホンジカの出没状況を把握したところ、過年度と変わらず多くのニホンジカが撮影された。ブナ林に隣接しているカラマツ人工林内においては、林床がミヤコザサに覆われていることもあり、ブナの更新稚樹は、ほとんど見られなかった。カラマツ人工林がブナの分布移動に貢献する可能性は低いことが推測された。 高標高の防火帯においてカラマツは旺盛に天然更新していた。樹高100cmでも結実が見られた。また、高標高のカラマツ人工林やダケカンバ林に更新しているオオシラビソやシラビソはニホンジカに集中的に剥皮されていた。 これらのことから、ニホンジカに剥皮や摂食される特定の樹種は、その分布域の縮小を通じて、気候変動下での樹木分布移動には負の影響があることが推測された。カラマツは、高標高にも植栽され剥皮や摂食を受けない樹種であり、その更新場所によっては、分布域を広げることが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成果を論文にまとめ投稿しているが、1本は4月に受理・公開、もう1本は査読中であるため、当初の研究期間中に公開できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
年代の異なる空中写真判読により人工林植栽樹種の分布が移動しているよりも、ニホンジカの摂食の方が影響が大きい可能性が現地観察から確認されたため、より詳細に高標高域でのニホンジカの影響を把握するための研究が必要である。 投稿中の研究成果をオープンアクセス化するために、論文を投稿中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果をまとめた投稿論文のオープンアクセス化を考えていたが、論文がまだ受理されていないために、次年度に使用する。
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