研究実績の概要 |
平成29年度までに、光ファイバとモノクロメータを導入した時間分解分光光学系の設計・開発、およびこれによる様々な細胞配列を持つ樹種の測定が完了し、木材の細胞構造が近赤外光の散乱に及ぼす影響を把握することができた。 今年度はさらに木材の光散乱特性について、空間分解分光法および時間分解分光法の領主法によって測定モデル化を行った。また、1台の光源と2台の分光器で構成したTFDRS(Three fiber diffuse reflectance spectroscopy)分光器を最適化し、散乱光の空間分布を測定した。その後これまでの知見を元に、安価で小型な木材材質装置の試作を行った。特に試料中での光の散乱特性を補正できる空間分解分光法に着目し、これを安価なLEDや光検出器で実現した。密度や含水率が異なる複数の木材を本手法によって測定し。これにより得られる信号が含水率および木材密度によって変化することを見出した。また試料の試料蛍光情報の取得では励起光403nmおよび846nmレーザーを照射し、その透過光の分光・時間分解測定から木材および葉っぱの光散乱特性および蛍光強度・蛍光光寿命特性を把握した。 これらの成果を国内学会(日本分光学会年次講演会、第69回日本木材学会大会)で2度、国際学会で3度発表(Sixth Asian NIR Symposium、2018 SWST/JWRS International Convention、SciX 2018)し、3件の論文投稿(Holzforschung,J. Wood Sci Technol)を行った。
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