研究課題/領域番号 |
16K07807
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梅村 研二 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (70378909)
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研究分担者 |
金山 公三 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (60356798)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒドロキシアパタイト / モネタイト / 硝酸カルシウム / リン酸水素二ナトリウム / リン酸水素二アンモニウム / 無機・木質複合成形体 |
研究実績の概要 |
硝酸カルシウムと各種リン酸塩を水に溶解させるとヒドロキシアパタイトに代表されるリン酸化合物が生成し、同時に硝酸塩や硝酸が副成する。過去の研究によると、副成物の硝酸塩や硝酸は木材を活性化させて自己接着をもたらすことが知られている。そこで、本研究では硝酸カルシウムと各種リン酸塩の懸濁液に木粉を混合し、木粉の自己接着による無機・木質複合成形体の作成を試みている。今年度は、リン酸水素二ナトリウムを用いた場合の成形体中の無機物の分布状態や成分を調べるとともに、新たにリン酸水素二アンモニウムを用いた場合の製造条件と成形体の物性との関係について検討した。 硝酸カルシウムとリン酸水素二ナトリウムから作製した成形体のX 線CT 観察を行った結果、成形体中に約0.2mm 以下の無機粒子が点在していることが分かった。また、モデル実験による無機物の定性分析の結果、ヒドロキシアパタイトではなくモネタイトや硝酸ナトリウムであることが明らかとなった。この結果、成形体中の無機物はモネタイトや硝酸ナトリウムである可能性が高いことが推察された。 リン酸塩としてリン酸水素二アンモニウムを用いると、熱圧温度が180℃の場合に曲げ性能が著しく向上することが認められた。また、煮沸繰り返し試験の結果、120℃や140℃で作製した成形体は耐水性を示さなかったが、160℃や180℃での成形体は形状の維持が確認され、特に180℃の成形体で高い耐水性を示した。これまでのリン酸水素二ナトリウムを用いた成形体と比較すると、180℃での曲げ強度は約2倍の値を示し、耐水性も優れていることが分かった。これは、副成物の硝酸アンモニウムが木材の自己接着を効果的に促進したためと考えられた。
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