研究課題
基盤研究(C)
セルロースは容易に置換基を導入することが可能であり、またメタノールとの親和性が低いことからセルロースにアニオン交換基を導入し成膜できれば、アニオン交換膜形燃料電池用の電解質膜として利用可能であると考えられる。本研究では、四級アンモニウム化セルロースとセルロースナノファイバーとの複合電解質膜を作製し、その特性を評価した。この電解質膜は含水状態での膜面方向の寸法安定性が高く、イオン伝導性を有することを明らかにした。
高分子化学
これまでの燃料電池用電解質膜の研究対象は石油由来の合成高分子がほとんどであった。セルロースは自然界に最も多量に存在する天然高分子であり、人体に無害で生分解性であるという特徴を有している。再生可能資源であり環境負荷の低いセルロースを燃料電池用電解質膜のような機能性材料として利用することは環境面でのメリットがあり、脱石油にも貢献可能である。本研究により、セルロースを燃料電池用電解質膜として利用する際の基礎的な知見を得ることができた。