| 研究課題/領域番号 |
16K07821
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| 研究機関 | 茨城大学 |
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研究代表者 |
加納 光樹 茨城大学, 広域水圏環境科学教育研究センター, 准教授 (00527723)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 塩性湿地 / 大規模クリーク / 魚類群集 / 無脊椎動物群集 / 再生 |
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| 研究実績の概要 |
塩性湿地（汽水域にあるヨシ等の抽水植物からなる湿地）のクリークは、昭和初期までの開発で大半が消失したが、ニホンウナギをはじめ多くの水産有用種や絶滅危惧種の重要な生息場所であり、その保全・再生が急務である。これまでの研究で天然塩性湿地クリークの環境特性と生物生息状況が把握され、小規模クリークの造成効果も検証された。これらの成果を発展させ、本研究では東京湾岸埋立地にパワーショベル等での掘削によって大規模クリークを造成し、魚類・無脊椎動物群集を回復させるモデルケースを構築することを目的とする。
2016年度末までに造成された大規模クリークにおいて、2017年度と同様に、2018年度も５月（春）、７月（夏）、９月（秋）、１２月（冬）の各月に、水質や底質などの環境調査や各種漁具・調査器具による魚類・底生無脊椎動物の定量採集・観察を実施した。大規模クリーク内の水位や塩分、溶存酸素量の潮汐・季節変動、多様な底質環境、クリーク周辺の抽水植物群落は造成後2年間にわたって維持されており、東京湾岸に局所的に残存する天然クリークに近い物理環境を創出することに成功した。2018年度はニホンウナギやトビハゼ、マサゴハゼなどの絶滅危惧種を含む魚類計22種のほか、エビ類5種の生息が確認された。造成後１年目と2年目では優占種各種の個体数密度や体長組成の季節変化がよく似ており、魚類・エビ類群集がほぼ安定していると判断された。
今後、造成クリークが有する生息場所としての機能について、関東地方に残された他の天然クリーク（小櫃川河口域や汽水湖の涸沼等）と比較しながら検討していく予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた野外調査やサンプル処理は、計画通りに終えることができた。湾岸埋立地に大規模クリークを造成し、２年間にわたって魚類・底生無脊椎動物群集がほぼ安定して維持されていることを確認できているため、研究はおおむね順調に進展していると判断される。
当初予定以上にサンプル処理に時間がかかったために、一部のデータ解析にわずかな遅れがみられるが、今後、一定の時間と労力を割くことで、容易に取り戻すことができる。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後の野外調査では、大規模な造成クリークで、環境条件（塩分、溶存酸素量、植生など）と魚類・エビ類・小型底生無脊椎動物の種数や個体数、種組成、体サイズがどのように変化するのかに関するモニタリングを継続する。さらに、造成クリークと天然クリークとの比較を通じて、造成クリークが有する生息場所としての機能を検証していく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた当該年度のデータ解析にわずかな遅れが生じているため、それに関係する経費の実支出がなかった。当該年度のデータ解析は、2019年度末までを目途に終了する予定であり、それまでに経費の繰り越し分も使用する予定である。
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