• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

屋久島で独自の進化を遂げたアユ集団の保全生態学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K07827
研究機関鹿児島大学

研究代表者

久米 元  鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (00554263)

研究分担者 柳下 直己  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (50434840)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードアユ / 屋久島 / 島嶼個体群 / リュウキュウアユ / 両側回遊
研究実績の概要

生態に関する情報が限られており、鹿児島県により消滅危惧Ⅱ類に指定されている屋久島のアユの現在の生息状況、個体群構造、生活史について明らかにした。これまでに生息が確認されている一湊川、宮之浦川、安房川、栗生川、永田川で潜水目視調査を行ったが、調査期間を通じて一湊川、安房川、永田川で成魚を確認することはできなかった。仔稚魚の採集調査を実施したところ、一湊川では少数ではあるが標本が採集されたため、低密度ではあるが依然として個体群は維持されていると考えられた。十分な個体数の得られた宮之浦川と栗生川の仔稚魚標本を用いて遺伝解析を行った。その結果、両河川の個体群間には有意な遺伝的差異がみられ、現在、両河川間の個体の移動はほぼないと考えられた。宮之浦川個体群には、遺伝的に分化したいくつかの系統が認められ、本土産よりは若干低いものの遺伝的多様性がみられた。一方、栗生川個体群では遺伝的多様性は極めて低く、本河川における個体群が小さいことを反映していると考えられた。宮之浦川及び栗生川個体群を対象とし、仔稚魚の耳石による成長解析を行った。その結果、本土のアユに比べて産卵開始時期は11月中旬と遅く、産卵期間はおよそ20日と極めて短いことが分かった。成長率は本土の個体群に比べて最も高く、屋久島の中でも河川間で成長率に違いがみられた。栗生川の方が宮之浦川よりも成長が早く、河口域の環境や餌環境の違いが影響を及ぼしている可能性が示された。同じ低緯度の島嶼である奄美大島に生息するリュウキュウアユとは成長率、海洋生活期間、遡上生態に明瞭な違いがみられた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 奄美大島におけるリュウキュウアユの生活史2019

    • 著者名/発表者名
      久米元
    • 学会等名
      生物多様性シンポジウム「奄美群島の海と川の生き物たち~未来に残したい宝物」
    • 招待講演
  • [学会発表] 温暖化あるいは海水温上昇が内水面生物資源に及ぼす影響:リュウキュウアユをモデルとして2018

    • 著者名/発表者名
      久米元
    • 学会等名
      日本水産学会九州支部大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 屋久島におけるアユの初期生活史2018

    • 著者名/発表者名
      岡紗也佳・関口一平・中田あずみ・久米元
    • 学会等名
      日本水産学会九州支部大会
  • [学会発表] 奄美大島東部住用湾の河口域及び砕波帯における魚類仔稚魚の出現様式2018

    • 著者名/発表者名
      石田慎・黒木亮太朗・久米元
    • 学会等名
      日本水産学会九州支部大会
  • [学会発表] 奄美大島東部の住用湾に注ぐ役勝川,住用川,川内川の河口域における魚類仔稚魚の出現様式2018

    • 著者名/発表者名
      石田慎・黒木亮太朗・久米元
    • 学会等名
      日本魚類学会年会
  • [学会発表] 初めて明らかとなった奄美大島産リュウキュウアユのメタ個体群構造2018

    • 著者名/発表者名
      武島弘彦・小黒環・佐久間啓・久米元・米沢俊彦・西田睦・井口恵一朗・安房田智司
    • 学会等名
      日本魚類学会年会
  • [図書] 奄美群島の水生生物2019

    • 著者名/発表者名
      久米元・米沢俊彦・鈴木廣志・寺田竜太
    • 総ページ数
      245
    • 出版者
      南方新社

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi