研究課題/領域番号 |
16K07828
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
近藤 竜二 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (30244528)
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研究分担者 |
高尾 祥丈 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (00511304)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 鞭毛虫 / 嫌気 / 底泥 / 現存量 |
研究実績の概要 |
本研究の対象とする福井県の三方五湖の一つである日向湖の底泥の表層を採取し、Percollを用いた密度勾配遠心法によって微生物を分画し、プリムリン染色法によって原生生物(鞭毛虫)を計数し、嫌気的な底泥中での鞭毛虫の動態を把握する実験を開始した。この時、前年度までに単離培養している形態的に特徴のある鞭毛虫を分けて計数し、ある特定の原生生物の動態を調べている。また、DAPI染色法による細菌の計数も行っている。この調査は2019年1月から開始し、2019年12月まで毎月一回実施する。また、同じ試料を凍結保存し、後にDNAを抽出する。これをPCRの鋳型として用いる定量PCRによって、標的としている鞭毛虫の計数を行い、プリムリン染色法による直接計数値と比較する。 本研究の対象水域ではないが、日向湖に隣接する水月湖(汽水)、久々子湖(海水)および三方湖(淡水)から、それぞれ数株の鞭毛虫あるいは繊毛虫の単離に成功し、それらの18S rRNA遺伝子の塩基配列を決定したところ、数株については新種である可能性が示唆された。 一方、昨年度までに日向湖の底泥および嫌気的な底層水から単離したラビリンチュラ類を顕微鏡で観察したところ、形態的に特徴のあるDiplophrys属であることがわかった。現在、この細胞からDNAを抽出し、PCRによって18S rRNA遺伝子を増幅し、その塩基配列を決定し、種の同定を試みようとしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単離された鞭毛虫の遺伝子の決定が進んでおらず、遺伝子プローブの作成には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
日向湖の底泥堆積物を定期的に採取し、密度勾配遠心法によって微生物画分を回収して、直接計数法によって鞭毛虫と細菌の計数を1年間にわたって調べる。また、一部の試料からDNAを抽出してPCRの鋳型とする。このDNAを用いて定量PCRによって鞭毛虫の計数を行い、直接計数で得られる計数値と比較することによって、定量PCR法の妥当性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子の解析および遺伝子プローブの作成、ならびに現場観測のための予算を次年度に使用する。
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