研究課題/領域番号 |
16K07837
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
東海 正 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30237044)
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研究分担者 |
胡 夫祥 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80293091)
塩出 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (40361810)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 底びき網 / コッドエンド / 網目選択性 / 東シナ海 / 資源保全 / 大陸棚 / 大陸斜面 / 深海性底魚 |
研究実績の概要 |
底曳網の資源管理における重要な方策のひとつとして,コッドエンド(袋網後端部)の網目選択性がしばしば用いられる。これは網目の大きさ(目合)を規制することで,小型の魚を逃がして,漁獲する魚の大きさを制御することを想定している。 連携研究者が所属する西海区水産研究所が2004年以降に行ったSSR1型着底トロールによる資源調査(カバーネット(目合18mmあるいは目合 10.3mm)が装着されたコッドエンド(目合内径54mm,東シナ海における規制目合に該当)のデータから,コッドエンドとカバーネットの体長組成を求めた。特に,全数が測定された操業回を抜き出し合算して,コッドエンドの選択性曲線をロジスティック式で表し,そのパラメータを推定誤差とともに最尤推定した。 魚類20種(ハモ,カゴシマニギス,ニギス,マエソ,クロエソ,マトウダイ,アカムツ,キントキダイ,アカアマダイ,マアジ,マルアジ,カイワリ,キダイ,シログチ,イボダイ,タチウオ,ゴマサバ,マサバ,メイタガレイ,サラサハギ)および頭足類2種(ケンサキイカとスルメイカ)の選択性を求めることができた。得られた選択性パラメータ(50%選択体長l50と選択レンジS.R.)と魚体型の関係を検討した。さらに,95%選択体長(ほぼコッドエンドの網目を抜けない体長)を,最小成熟体長や初回産卵体長と比較して,単一の目合による網目規制による資源保全の有効性を検討した。 また,マアジとカイワリ,スルメイカ,ヤリイカについて曳網ごとの選択性曲線を求めた。 そのほか,東京海洋大学練習船海鷹丸がズボン式網を用いて東シナ海の大陸斜面水深200m付近において行ったトロール調査結果から,深海性の底魚であるカゴシマニギス,ニギス,トンガリヒゲ,キュウシュウヒゲ,ヤリヒゲ,ギンメダイ,ユメカサゴ,スミクイウオ,ワキヤハタに対する網目選択性曲線の推定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,東シナ海において代表的な漁獲対象種のコッドエンド選択性を求めることができ,複数種の資源保全に対する単一の目合による網目規制の有効性について検討することができた。成果を日本水産学会平成29年度春季大会においてポスター発表を行ったものの,投稿にまでは至らなかった。また,曳網間変動を検討する対象種についても曳網毎の選択性曲線の推定を開始したものの,具体的な検討にまでは至っていない。しかしながら,これまで求められていない大陸斜面水深200m付近に生息する深海性の底魚についてコッドエンド選択性を推定できた点は,想定以上の成果である。したがって,おおむね順調にしていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度成果をとりまとめた論文原稿の投稿に努める。当初の予定通り,コッドエンドの網目選択性の曳網毎の推定結果を整理して,曳網間の変動について分析に取り組む。 また,深海性底魚類に対する選択性についてとりまとめて,学会などでの公表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,東シナ海での底びき網調査に学生1名の乗船を計画していたが,天候不順などで調査ができなかった。このための旅費などを計画通り支出できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において,追加の調査などを実施する際に使用する計画である。
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