研究課題/領域番号 |
16K07842
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
佐野 菜採 三重大学, 生物資源学研究科, 学術研究員 (50636545)
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研究分担者 |
古丸 明 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10293804)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 凝集力価 / RNA干渉 / 定量PCR |
研究実績の概要 |
・低塩分養生時のアコヤガイガレクチン遺伝子Pogalの転写量の測定 アコヤガイ血リンパの凝集力価が低塩分養生により抑制されることを昨年度に明らかにした。そこで本年度は低塩分養生が凝集力価に関連すると思われるレクチンの発現に与える影響を検討した。2017年6月に塩分25PSUに調製したタンクに挿核したアコヤガイと未挿核のアコヤガイを収容,対象として挿核したアコヤガイを海上筏で飼育した。挿核4,8,12日後に各区から10個体のアコヤガイをサンプリングし,血リンパの凝集力価,および血球,中腸腺の,既存のアコヤガイガレクチン遺伝子であるPogalの転写量の測定を行った。その結果,低塩分養生による凝集力価の抑制,および若干ではあるが血球中のPogalの転写量の低下が観察された。この結果を2018年4月23-26日に台湾の台北で開催されるAsian Pacific Aquaculture 2018で発表する。
・PogalのRNA干渉 上記の結果を受けて,Pogalに相補的なdsRNAを作成し,アコヤガイに接種し,RNA干渉による遺伝子発現の抑制それに伴う凝集力価の低下を誘導することを試みた。Pogalの遺伝子上の2箇所の約450bpの配列上に作成したdsRNAを作成して,各10個体に接種した。対象区にはPBSを接種した。接種4,8日後に採血し,血球からRNAを抽出し,Pogalの転写量を測定した。転写量の低下は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血リンパ中の凝集力価を担う物質の確定的な特定ができていないため,その物質のアコヤガイ血球に対する作用に関する研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
血リンパの凝集力価はムチンにより阻害できることは確実であるため,アコヤガイ血球上にムチンに対するレセプターがあることを推察し,凝集素と血球の相互作用を検討する研究を行う。血球の培養,フローサイトメーターによる解析等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)凝集素のRNA干渉の実験において使用する試薬が当初の予定よりも少なく済んだため。 (使用計画)30年度に行う凝集素とアコヤガイ血球の相互作用の実験において使用する予定である。
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