研究実績の概要 |
本研究の目的は、E. tardaのマクロファージ内での増殖性、上皮細胞への侵入性、ゼブラフィシュへの病原性に関連しているタイプIII分泌装置遺伝子クラスター内の5つの機能未知遺伝子(escC, orf13, orf19, orf29, orf30遺伝子)に着目し、宿主細胞内で結合する宿主因子を同定することにより、未知の病原性発現機構を明らかにすることである。 当該年度では、5つの機能未知遺伝子ノックアウト株の内、orf13, orf19, orf29, orf30遺伝子ノックアウト株と野生株をヒラメに腹腔内接種し、野生株投与群とノックアウト株投与群の累積死亡率に差が生じるかを経時的に調べた。その結果、orf13遺伝子ノックアウト株では病原性の著しい低下が認められ、また、orf30遺伝子ノックアウト株では病原性発現時間の遅延が認められた。また、感染魚についてから分離したマクロファージ内での野生株およびノックアウト株の増殖性を比較しているが、現在実験を行っているところである。 また、orf29とorf30遺伝子配列から推定されるペプチド断片に対するウサギポリクローナル抗体の作製を完了した。 orf13, orf19, orf29, orf30遺伝子については、結合する宿主因子をタンパク質-タンパク質間の相互作用で検出するYeast two-hybrid法に用いるためのクローニングを完了した。
|