大型底生性頭足類ミズダコの産卵場が成立する条件を明らかにするために、羅臼町沿岸域での産卵場の野外調査と飼育条件下での卵の人工ふ化試験を実施した。ミズダコの産卵場では夏季の平均水温17℃以下で、周年0.1kt以上の流れが発生していた。抱卵巣穴の内部は、平らな低い天井で奥行きがあり閉鎖性が非常に高かった。卵を飼育下でふ化させた結果、ふ化後数日間の生残率が高い条件は、卵の孵化までの日数は200~320日、かつ積算水温が1700℃・日前後であった。海水温が-2度以下、20度以上では、卵の発生は進まなかった。これら結果と、既存の海洋観測データ、等深線から北海道周辺海域のミズダコの潜在的産卵場を推定した。
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