研究課題/領域番号 |
16K07858
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
森田 晶子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 北海道区水産研究所, 主任研究員 (40443387)
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研究分担者 |
森田 健太郎 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 北海道区水産研究所, 主任研究員 (30373468)
横田 高士 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 北海道区水産研究所, 研究員 (80731504)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 父性効果 / 母性効果 / ホッケ / 加入量変動 |
研究実績の概要 |
海産魚類の加入量変動機構について、繁殖特性との関係が注目される中、母性効果や父性効果が加入量変動に与える影響について注目されている。特に雄親が卵保護等をする魚種では雄親魚の体サイズなどが卵数や卵サイズに影響を与えるという父性効果についても注目されている。本研究では、近年資源状態が悪化しているホッケを対象として、雌雄親魚の体サイズ等が繁殖形質や仔魚期の生残率に及ぼす影響を飼育実験により明らかにし、資源変動に父母性効果が作用しているか検証することを目的としている。 北海道日本海側で採集されたホッケを用い、国立研究開発法人水産研究・教育機構北海道区水産研究所厚岸庁舎(ペア実験および体サイズ区分の異なる水槽で自然産卵)および函館国際水産・海洋総合研究センター(体サイズの異なる親魚を複数個体入れた大型水槽内で自然産卵)で産卵実験を行った。それぞれの産卵実験ではホッケ親魚の筋肉中に電子標識を装着して個体識別をし、親魚の体サイズ等と卵重量および卵サイズとの関係、無給餌飼育実験から親魚の体サイズと仔魚の生残率との関係等を調べた。事前のペア実験の結果から、雄の体サイズが卵サイズに影響を及ぼすことが示唆されていたが、繁殖相手を選択可能な自然産卵実験においても同様の結果が得られるか調べた。卵サイズがどのような要因により影響を受けるのか調べたところ、雄が大型であるほど卵サイズは小さくなる傾向が認められ、父性効果の影響を示唆する結果が得られた。また、親魚の体サイズが仔魚の生残率に与える影響を調べるために、得られた卵塊を用いて複数の水温で無給餌飼育実験を行ったところ、低水温の方が生残日数は長く、また昨年度と同様に大型の個体から生まれた仔魚の方が生残率が高い傾向が見られた。研究結果の一部について、論文発表および学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた繁殖ペアでの自然産卵実験および大型水槽において体サイズの異なる複数個体による自然産卵実験を行い、親魚と繁殖形質データとの関係について調べることができた。また、仔魚の生残率のデータの蓄積を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに飼育実験を実施してデータ解析を行うとともに、ホッケの父母性効果再生産モデルについて分析を進める。父母性効果再生産モデルについては、水産庁の我が国周辺水産資源調査で得られ、公表されているホッケの年齢別資源尾数、加入尾数、再生産成功率等を使用する予定である。飼育実験で得られる結果と長期モニタリングデータの分析結果を統合し、父母性効果が加入量変動に及ぼす量的効果について総合的な考察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の計画では北海道区水産研究所厚岸庁舎における飼育実験を行うにあたり、餌料および実験に使用する消耗品などを購入する予定であった。しかし、研究過程で餌料および消耗品の購入費を削減することができたため、次年度使用額が生じた。次年度においても同様の実験を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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