研究課題/領域番号 |
16K07861
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
名古屋 博之 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 主幹研究員 (40372031)
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研究分担者 |
森 司 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60241379)
正岡 哲治 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 主任研究員 (70372042)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遺伝子組換え魚 / 安全性 / 蛋白質変化 / エネルギー代謝 / iTRAQ / シグナル伝達 / ヒストンメチル化 |
研究実績の概要 |
iTRAQ法を用いたプロテオミクス解析で形態異常を示したGH遺伝子組換えアマゴ個体の肝臓における蛋白質変化を網羅的に解析した。対照個体と比較して組換え魚で1.5倍以上増加した蛋白質は270個存在し、組換え魚で最も増加した蛋白質は対照個体の 7.7倍であった。一方、最も減少していた蛋白質は脂質代謝関連遺伝子であるΔ-6 desaturase で対照個体の0.3倍であった。組換え魚の代謝変化上位10種類の代謝変化の内訳は、上位3つが筋肥大に関わるEIF2Signaling、eIF4/p70S6K signaling、mTOR signalingであり、体サイズの増大を示唆した。他の代謝経路ではミトコンドリアの機能やエネルギー代謝関連が変化していた。また、発現蛋白からガン化、臓器損傷、腫瘍、神経的疾患等に関連する症状、心機能、骨、筋肉の発達などの変化が起きている事が推測された。IPA解析の結果から真核生物の主なATP産生経路(好気的代謝・嫌気的代謝)について既存の代謝マップに当てはめた。解糖系では、4種類の酵素が組換え魚肝臓で1.4倍から6.7倍の増加を示した。TCA回路では、アセチルCoAからクエン酸を産生する酵素であるCitrate synthaseが2.0倍増加していた。また、主にATP産生を行うミトコンドリアの電子伝達系は5つの呼吸鎖から構成されるが、組換え魚で1.6~2.8倍増加した。ヒストン蛋白の修飾解析のため遺伝子組換えアマゴと対照個体の肝臓から得られた可溶蛋白質を比較した結果、ヒストンの修飾はMethyl、di-Methyl、Acetyl、Oxidation、Carbamidomethyl、Acetaldが検出された。これらの修飾は組換え魚と対照個体で著しく異なり、組換え魚でMethyl化は著しく高かった。
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