研究課題/領域番号 |
16K07863
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
布田 博敏 北海道大学, 保健科学研究院, 特任准教授 (60576172)
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研究分担者 |
古川 貴之 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (30754642)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 抗酸化物質 / マガキ / 酸化ストレス / 肝臓 / NASH |
研究実績の概要 |
平成25年度の科学研究費助成金事業において、マガキ抽出物が酸化ストレスが要因となって発生する疾病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、そのモデルマウスを用いた実験において、効果的に疾病発症を抑制した。このことはマガキ抽出物の抗酸化物質により酸化が抑制され、発症が抑制されたものと考えられる。しかしながら、マガキ抽出中において、申請者のグループが独自に発見・同定した新規の抗酸化物質(DHMBA)以外に報告はなく、他の抗酸化物質の可能性も考えられる。本研究では新規の探索手法を開発し、DHMBA 以外の新規の抗酸化物質の単離・同定を行う。 平成28年度はマガキ抽出物から新規の抗酸化物質の探索方法の開発である。抗酸化酵素群の発現に関与する「Keap1-Nrf2経路」を活性化する抗酸化物質において、それらをスクリーニングできる「リポータージーンアッセイ」の開発を行った。 リポータージーンアッセイ成功の重要な要因はリポーターベクターの細胞へのトランスフェクション効率である。ヒト肝臓の培養細胞として、HepG2、C3Aを用いた。トランスフェクション試薬として、Fugene 6、Fugene HD、Lipofectamine 2000、Lipofectamine 3000を用いた。その結果、細胞はC3A、トランスフェクション試薬はFugene HDの組み合わせが良好なトランスフェクション効率が得られた。実際にマガキ抽出物から、シリカゲルクロマトグラフィーにより分画した画分を上記で開発したリポータージーンアッセイでスクリーニングした結果、活性の高い疎水性分画が得られた。今回、我々が開発したリポータージーンアッセイは高s/n比で安定した活性が得られていることから、新規抗酸化物質のスクリーニング法の開発は成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
リポータージーンアッセイ成功の重要な要因はリポーターベクターの細胞へのトランスフェクションである。それらを検討した結果、良好な細胞やトランスフェクション試薬が選択できた。また大学院生が積極的に実験に協力してくれたこともあり、当初の計画よりも大幅に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
マガキ抽出物から新規抗酸化物質の単離・同定、及び化学的合成を行う。 新規抗酸化物質の単離・同定、及び化学合成は古川、細胞を用いたリポータージーンアッセイを布田が行う。これまでの申請者らがマガキ抽出物から分画を行ってきた知見を基に、分画を行う。まず、シリカゲルクロマトグラフィーにより極性の違いより、数個の画分に分画する。それらをリポータージーンアッセイにより活性の高い分画を分取し、次にODS カラムクロマトグラフィーを用い、疎水相互作用により数個の画分に分画する。それらをリポータージーンアッセイにより活性の高い分画を分取し、次に逆相HPLC を用い、極性の違いにより数個の画分に分画する。それらをリポータージーンアッセイにより活性を観察する。最終的に同アッセイにおいて、活性の高い物質の単離・精製、及び同定をおこない、その物質における化学合成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本助成金が平成28年10月21日に追加採択だったため。 本研究課題の研究は平成28年4月より他の財源を用いて行っていたために、本助成金を全額使用する必要性がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の課題である新規抗酸化物質の単離・同定、及び化学的合成に用いる各種カラム、nuclear magnetic resonance(NMR)使用料、合成試薬、及びスクリーニング(リポータージーンアッセイ)に用いる細胞培養液、細胞培養器具、リポータージーンアッセイ用試薬。これらの器具や試薬の購入に計画的に用いる。
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備考 |
食品機能解析・保健栄養学(渡辺オイスター)分野は平成22年1月1日に株式会社渡辺オイスター研究所のご寄附により設立しました。本寄附分野では酸化が要因となって発生する疾病の予防や治療に有効な「マガキ由来の機能性成分」の研究を行っています。
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