麻痺性貝毒(ナトリウムチャンネル阻害物質)や下痢性貝毒(ホスファターゼ阻害物質)は摂取後すぐに下痢や痙攣などの症状が現れる急性毒性を示すのに対し、外套膜に含まれる毒物質は摂取し続けることで毒性が現れる亜急性毒性を示す。また、0.01%(餌に含まれる外套膜含量)という少量の外套膜組織(体重比で換算すると50kgのヒトで毎日約1gの摂取に相当)を含む餌でさえ数か月後にラットが死亡したことから(図2)、毒物質が体内に蓄積する可能性も否定できない。ホタテガイに含まれる未知の毒物質がヒトに対して毒性を示すかどうか明らかにするため、まず外套膜組織に含まれる毒物質の同定と作用メカニズムの解明が急務である。
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