研究課題/領域番号 |
16K07867
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
北野 克和 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10302910)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海洋付着生物 / 付着阻害 / 付着防汚 / 付着誘起 / 付着誘引 / フジツボ |
研究実績の概要 |
1.アミノ酸誘導体付着阻害物質の合成と海洋評価試験 これまでに、タンパク質構成アミノ酸を原料として、イソニトリル化合物を合成し、タテジマフジツボキプリス幼生に対する実験室内付着試験を行った結果、多くのアミノ酸誘導体イソニトリル化合物に有効な付着阻害活性が観察された。そこで、平成28年度は、これまでに有効な付着阻害活性を示した、アミノ酸誘導体イソニトリルについて、10 gスケールの合成を行い、漁網のテストピースを用いた海洋評価試験を行った。その結果、無処理のコントロールと比べて有効な防汚効果が観察された。また、非タンパク質構成アミノ酸由来のアミノ酸誘導体イソニトリルについても新たに創製し、実験室内付着試験を行った。その結果、有効な付着阻害活性が観察された。
2.ペプチド系化合物による付着誘引活性に関する構造-活性相関の考察 これまでに、32kDaの付着誘引(誘起)フェロモンの配列を基に合成したアミノ酸12残基のペプチド化合物①はコントロールに比べて約3倍の付着誘起活性が観察されていた。しかしながら、ペプチド①の活性発現部位や必須のペプチド配列部分については不明であった。そこで、まず平成28年度は、活性ペプチド①をアミノ酸を6残基程度に断片化したペプチド化合物を合成し、ペプチド化合物の付着誘起活性を測定した。その結果、ある特定の配列を有するペプチド化合物において、ペプチド化合物①と同程度の付着誘起活性が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.アミノ酸誘導体付着阻害物質の合成と海洋評価試験 海洋評価試験を実施した結果、コントロールに比べて有効な付着防汚効果が確認されたこと、また新たな非タンパク質構成アミノ酸由来の付着阻害活性化合物を創製できたことからおおむね順調に進展しているといえる。
2.ペプチド系化合物による付着誘引活性に関する構造-活性相関の考察 断片化したペプチドについて、元のペプチド化合物と同程度の付着誘起活性が観察されたことからおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1.アミノ酸誘導体付着阻害物質の合成と海洋評価試験 これまでの結果をフィードバックするとともに、新たな海洋評価試験用サンプルを合成し、海洋評価試験を実施する。
2.ペプチド系化合物による付着誘引活性に関する構造-活性相関の考察 有効な付着誘起活性が観察されたペプチド化合物について、さらに断片化したものを合成し、付着誘起活性の構造-活性相関について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
化合物の合成が効率的に進行し物品費(消耗品代)が抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り使用するとともに、より多くの化合物を合成すること、また国内・国際学会に積極的に参加し、旅費について当初の計画よりも多めに執行することを計画している。
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