1.アミノ酸誘導体付着阻害物質の合成と海洋評価試験 前年度までに、実験室内におけるタテジマフジツボキプリス幼生に対する付着試験で有効な付着阻害活性が観察された、タンパク質構成アミノ酸および非タンパク質構成アミノ酸由来のイソニトリル化合物について、10gスケールの合成を行い、漁網のテストピースを用いた海洋評価試験を行った。その結果、無処理のコントロールに比べて有効な防汚効果が観察され、特にベンゼン環を有する化合物に有効な防汚効果が観察された。
2.ペプチド系化合物による付着誘引活性に関する構造-活性相関の考察 前年度までに合成した6残基のペプチド化合物の付着誘起試験の結果から、ある特定の配列を有すると、タテジマフジツボキプリス幼生に対して有効な付着誘起活性を有することが示唆されていた。そこで、その配列を有する3残基、または4残基のペプチドを合成し同様の付着誘起試験を行った。その結果、有効な付着誘起効果は観察されたものの、6残基のペプチドに比べて活性が低下することが示唆された。 一方、研究期間中において比較的有効な付着誘起活性が観察された2種類のペプチドについて、アガロースゲルに担持させ、タテジマフジツボキプリス幼生に対して付着誘起・誘引試験を行った。その結果、ペプチドが存在すると付着が誘起されるとともに、ペプチドが担持されたアガロースのまわりに、コントロールに比べて付着数が上昇することが観察された。
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