研究実績の概要 |
強酸性水圏(pH1~4)から発見して単離したアルカリ化酵母の更なる生態解明を行うために、一般の中性水圏(pH6.4~7.8)からのアルカリ化酵母の単離を試みた。横浜市の淡水圏-池や用水路の表層水・底層水などを中心に単離した。 アルカリ化酵母の菌種同定を行ったところ、Aureobasidium pullulans, Auriculibuller sp., Bullera alba, Candida parapsilosis, Candida oleophila, Candida cyclindracea, Candida sp., Crpptococcus sp., Cryputococcus flavescens, Filobasidium magnum, Hannaella pagnoccae, Meyerozyma guilliermondii, Pseudozoyma antarctica, Pseudozyma tsukubaensis, Papiliotrema flavescens, Rhodotorula sp., Leucosporidium golubeviiなど13属21種もの酵母種が発見された。 強酸性水圏での先行研究と比べて、一般水圏では多様性が高いことがわかった。また、群馬県吾妻川や秋田県田沢湖などの強酸性水圏から単離した酵母と同一種の酵母も発見された。 これらの結果から、酵母のアルカリ化能は、特定の酵母種が持つ一般的な性質であり、中性環境では発現しないが、酸性環境に置かれると発現する性質である可能性が高いと考えられた。 アルカリ化酵母の中和活性を持つ酵素系の単離を目指して、培養酵母細胞を破壊して、遠心後の沈殿物と上清を回収した。これらからはカザミノ酸を分解して、アンモニウムイオンを生成する酵素活性を得られなかった。
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